台湾資料

展示風景  -ラウンジ- 

小川・浅井コレクション
ここでは、いまを生きる台湾の人びとと過去との関係のあり方を、さまざまな角度からご覧に入れます。現代の台湾原住民による権利回復運動、民族の尊厳を表現する文芸活動や母語教育、祭りなどについてご紹介するとともに、そこで過去の資料が果たす役割について考えます。また、台湾の人びとの生活にとけ込んだ「弁当」を通して、日本の統治が台湾に与えた影響の一端を知ることができるでしょう。
台湾鉄道の懐旧ブーム
奮起湖駅の弁当の変遷にみる「過去の利用に見る
浅井資料と頭社の祭
「過去」を利用する
データーベース
台湾原住民の新しい運動 タイヤルの衣装から見る同化政策
[展示について] 紙の「白」と、フィルムやレコードの「黒」をモチーフに、モノトーンでまとめた展示室とはうってかわって、ラウンジは生き生きとしたカラフルな色で構成し、一九三〇年代の「過去」の資料の展示から、「未来になりつつある現在」の資料の展示への移行を表現しました。いま、この同じ時代を生きる台湾の原住民の人びとの、さまざまな運動やとりくみを紹介するこの展示のテーマは「過去の利用」と「懐旧の流行」です。過去の記録や伝統の記憶は、なにも研究のためだけのものではありません。復刻された弁当や復元された衣装、そして、よみがえった祭や行事は、過去の資料が現在(いま)を生きるための糧となり、また、未来となりつつある現在の生活や暮らしを豊かにする、かけがえのない資源となることを教えてくれます。ところで、世阿弥の有名な言葉に「秘すれば花」という言葉があり、これは「秘するによりて大用あるが故なり」と続きます。この展覧会では、これまでなかなか陽の目をみることなく、人知れずひそかに保管されてきた資料の「大用」を心がけ、資料をただ保管するのでなく、それにふさわしい展示の場と機会を見つけ、広く公開し、表に出してゆくことで、資料をより大きく花ひらかせ、この先の未来においてもまた人の目にとまり、そのたびに人のこころに何かを感じさせるように努めました。現代風の彩りを添え、花模様をあしらって仕立て直した原住民の少女のパネルはその一例です。「原來的我 (本来のわたし)」「我的未来不是夢 (私の未来は夢ではない)」という言葉はいずれもプユマ出身の歌手 A-Mei の歌の題名から採ったもので、資料の新たな再生をねがって、この言葉をそこに添えました。

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