台湾資料

展示パネル

■「台湾資料」展に対する国内外からの反響 (2005年3月時点)

○台湾の新聞「聯合報」で本展のことが報じられました。
日本の学者が記録に残した80年前の原住民言語  「聯合報」二〇〇五年三月二十三日 記者曹銘宗・台北報道

台湾原住民族の文化の保護と振興、特にほとんど消滅した平埔族の言語の保護と振興は、7、80年前の二人の日本人の言語学者、小川尚義と浅井恵倫の調査と収集によって希望が見えてきた。日本統治時代の台北帝国大学の言語学教授であった小川尚義と浅井恵倫は、相前後してフィールドワークを行って、台湾原住民言語や文化の映像や音源を記録した。これらは、長らく塵の下に埋もれていたが、最新の科学技術によって再び世に現れ、学界では、人類学の重要な宝と認められることとなった。3月3日から30日まで、日本の東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所で行われている「臺灣資料:テキスト・音・映像で見る台湾〜一九三〇年代の小川・浅井コレクションを中心にして」展では、この二人の学者の調査と収集品が初めて公開されている。主催機関で開催する関連の国際シンポジウムでは、台湾の中央研究院語言学研究所研究員の李壬癸、民間の学者ケ相揚および政治大学民族学研究所の大勢の研究者が、明日から招聘されて、講演を行ったり発表を行う予定である。展覧会活動のウェッブページは以下の通りwww.gicas.jp/taiwan/
 「台湾資料」展委員会の委員長三尾裕子は、これらの資料は単に台湾の学術的な研究に資するだけではなく、台湾原住民族の文化 振興をも促すだろう、と指摘している。彼女は、現在この展覧会の台湾での開催を交渉中である。1932年に台湾総督の上山満之進 が職を離れて日本へ戻る際、研究資金を寄付した。台北帝大はこの経費を使って全台湾原住民族(平埔族は含まない)の言語学的 な調査を行った。当時台北帝大で教えていた小川尚義は、日本にいた浅井恵倫を呼び寄せて、協力させたのである。小川尚義は、1936年に退官し、後を継いだ浅井恵倫は集中的に平埔族の言語の短期調査を何度も行った。当時、平埔族の言語は消滅の危機に 瀕しており、浅井恵倫が各地を訪れて映像および音源資料を記録した。これらは、その後絶対に得ることが出来ない資料となった。
 日本統治時代には多くの学者が台湾原住民族の研究を行ったが、言語学の領域では断片的な調査にとどまっており、小川尚義、 浅井恵倫の二人によってようやく研究に進展が見られた。国際的に著名なオーストロネシア系言語学者の李壬癸によれば、小川尚義 は台湾のオーストロネシア系言語研究の基礎を築いた学者であり、小川尚義の功績なしには、今日台湾のオーストロネシア系言語の研究が国際的に重視されることはありえなかったという。
 浅井恵倫が亡くなってから、未亡人が1970年代に彼の研究資料を東京外国語大学に寄付した。これらの資料はずっと倉庫の塵の 下に埋まっていて、破損したものあった。しかし、近年、東京外国語大学、北海道大学応用電気研究所の共同研究のもと、デジタル 化技術によって整理された。それらは、22,000枚の写真、40巻の映像記録、40枚のレコードなどである。(訳:三尾裕子)




○『日本インターネット新聞』に本展の紹介記事ならびに
 実行委員へのインタビューが掲載されました。
よみがえる「台湾資料」:過去を再構築する原住民たち 「日本インターネット新聞」2005年4月7日・9日

[中略] 所用で3月末にキャンパスを訪れた際、この大学の目玉的な存在であるアジア・アフリカ言語文化研究所 (AA研) 主催の展覧会「台湾資料」を見学する機会を得た。台湾に関してはずぶの素人の私だが、戦前の研究者たちの精力的な現地調査のそれこそ一端を、メモやノート、写真、映像などを通じてうかがい知ることができて興味深かった。 資料の数々は、今日の私たちにも様々なことを語りかけ、問いかけてくる。経営委員的意識から言えば、こうした 地道なプロジェクトの成果を広く社会に知らせ活かしていくことこそ、この大学が活路を開くもっとも手近で有効な道であろうとも思わせる。などなどあれこれ考えさせる展示であった [以下略] 。
*詳しくは右記のURLにてご覧下さい。

http://www.janjan.jp/culture/0504/0504055392/1.php
http://www.janjan.jp/culture/0504/0504065434/1.php


○会場で実施したアンケートに寄せられた回答から
■会場アンケート
@本展のことを何でお知りになられましたか?
Aポスター・チラシ・ホームページをみて、どう思われましたか?
B本展をご覧になって、特に印象に残った資料や展示(物)は何でしたか?
C本展をご覧になってお気づきになったこと、お感じになったこと、何でも結構ですので、ご感想とご意見をお聞かせください。
D本展の展示資料やパネルについての、疑問、 質問、要望などございましたら、お聞かせください。

○これまでのAA研企画の展覧会はどれもすばらしいものばかりで、必ず来るようにしています。台湾と聞くと私のような一般人は政治問題や食べ物のことくらいしか思い浮かばないのですが、この企画を通して普段知ることのできない、先住民の歴史の一端に触れられた気がしました。今後の展覧会も大いに期待しています。

○中に入ってからの何とも言えぬ音響効果に感動しました。静かな展示室より数倍雰囲気が味わえました。

○音楽と映像がとても効果的だった。不思議な空間で楽しかった。今後もこのような展示をやって欲しいです

○映像資料の威力を改めて思い知らされる展示でした。

○台湾の原住民について、古い研究学者の資料だけではなく、もっとこのテーマとは別に台湾の歴史に興味を持つことができました。NHKスペシャル番組にこのようなドキュメンタル番組を作ってもいいような気がします。

○民族という角度から台湾をもっと知るようになりました。中国大陸の少数民族にも興味がわいてきました。

○Very interesting, a must see! When I looked the booklet, the booklet itself is very informative.

○研究者の遺族の抱えている資料を大学が引き取る、展示して見てもらう、とても素晴らしいことだと思います。

○浅井先生が写真、音の記録をあの当時、こんなにも残していることに改めて感動しました。また、二人の先生の生活態度にも教えられることがたくさんあります。

○台湾生まれなので懐かしく思ひました。

○小生昭和6年台湾生まれの日本人として懐旧の念にかられ、遠路はるばる来場した次第です。

○私は中国の少数民族の一つモンゴル民族です。今の若い人はモンゴル語とモンゴル文学両方通用できる人が少なくなっています。原住民が新しい運動を起こしていますが、私も自分の民族の言葉と文字を延々に続けて行きたいと思います。

○語彙集やテキストが非常に興味深かったです。国会図書館等の貴重書コーナーでも見ることのできない物でした。

○手書きの辞書(フィールドノート)、莫大な情報量と整理をみて情報テクノロジーの発展する前の調査の様子を思い知らされました。

○私自身、今、言語学をやっていて、この先どうしよう、だとか将来につながりが見出せないことで悩んでいましたが、この展示でその悩みもふっとびました。学問に対する見方がガラリと変わった気がします。

○「臺灣資料」と「資料公開」がやたらインパクトあった。そんな貴重な資料なら1回くらい見ておこうかという気になった。

○古い写真と「資料公開」の判を組み合わせたポスターデザインが、貴重な資料の展示を連想させ、興味をそそられました。

○ドキリとした。見てはいけないものを見ているように感じた。

○表現が変ですが、「お洒落だな」と思いました。惹きつけられるデザインだったと思います。

○レイアウトや展示の仕方がおしゃれでした。情報、よみやすかった。原住民と今日の台湾について、混血の文化などについてもっと知りたい。

○ポスター迫力ある

○AA研の展示シリーズでデザインされている小田マサノリさんはここの方ですか(毎度デザインを楽しみにしております)。

○アカデミズムの人が良くここまでという素敵なデザインです

○資料や展示物にいろいろありましてとてもおもしろいです。配られた資料も丁寧に作成されたものだと感じられます。

○おしゃれで驚きました

○暗くした部屋と光の入る部屋の特徴を上手く利用し展示されているところが、さすが、と思いました。弁当箱の記事がとても面白く興味深かったです。

○展示というと広いだけ広くて中身がちょっと…というものがありますが、大変中身の濃いもので、来てよかったと思います。

○小さな会場ですが、よく考えられた展示プランだと思います。過去と現在をうまく併存させている内容です。

○単に過去の資料の展示のみに留まらず、(個別の展示品よりもむしろ全体としてですが)外に面した部屋に於いて原住民の人々の現在を伝える展示も併せて行われたことは意義が大きいと思います。しかも外部からの観察と内部からの発信の双方が紹介されることにもなりましたので、バランスが取れていて良かったのではないでしょうか。

○小田マサノリさんの展示、チラシ、その他、アートディレクションドされたものは、しかし、どうしてこんなにセンスがあるのでしょう。ポップで奇怪な台湾のモノたち、どぎつい色彩、歴史の深みにはまらせてしまう重さ、ダークさ、すばらしいです。

○かつて「エキゾチックな民族」「野蛮人」として好奇心の対象にされてきた人々が、現在はそれを観光資源として利用しているところにしたたかさを感じました。過去と現在を表す二つの展示室の展示方法のギャップからそれをはっきり見ることができ、原住民の強さを感じるとともに「展示の仕方によって印象はどうにでも変わる」という事実に、いい意味で怖さを感じました。

○深い。暗い。痛い。けれども、ところどころにある浅井氏の手記がその中でただ光っている。

○いろいろありましたが、あえていうならあの展示空間そのものです。入口の暗幕、中の音楽等で入場者を強制的に「その世界」に飛ばしてしまう方法にインパクトを感じます。実際の展示物の中では、「僕らの名前を返せ」という詩、台湾以外の少数民族についてもいえるような気がします。

○博物館などで説明資料がほしいと思うことがよくあるのですが、パンフレットが充実していたので今後も必要なときに参照でき、大変ありがたいです。

○展示のテーマと統一性が部屋ごとにあってよい。雰囲気も十分である。iPODを使う理由がわからないが、実際の音が聴けるのはすばらしい。所々(そしてこのアンケートにも)見られる資料公開のしるしがたのしくもあり、情緒もある。

○この展示を見るまでは台湾原住民の存在すら知らなかった。勉強になりました!学術展示っぽいけど、展示Bのように親しみやすい(そして面白い)展示がたくさんあるのだから、もっと人が来てしかるべきだ!?(ポスターだけだとそういう面はあまり見えてこないので、もっといろいろアプローチすべき。せっかくいい展示(しかもただで)やってるんだから、ちゃんとみてもらわなきゃしょうがない。

○今、展覧会などに行くと、ビジュアル化されているものが多いですが、この催しは70年も前の当時の音、映像を使っているところがスゴイと思いました。

○はじめの部屋で、調査した人の活動した年などを文字として見たときは漠然と「昔、日本は台湾も侵略したのか」と思ったが、次の部屋で衣装の作者のカラー写真を目にして、お母さんから作り方を教わったという部分を読んだとき、決して昔のことではないのだと感じた。中国のことも朝鮮半島のことも同じ。

○The films emphasized the tradition and the cultural aspects of the society and the pictures lend another dimension to what life was like in the history of Taiwan. Furthermore, the notes and journals displayed are so detailed and it is great that they were preserved.

○日本は一方的な侵略をつづけていたことも事実だけど、こういう人たちもいたのか、学者ってなんだかすごいと思った。

○日本統治時代の台湾を少し感じることができた気がする。そして、言語が統治手段として使われたことは憤慨だが、研究への熱意が伝わってきた。

○台湾の人たちが日本統治時代の遺物を否定することから、利用しようと考えるようになっていることは、ほんとうにうれしいことです。

○"真性"ではない民芸品に山下真司の『バリ観光人類学のレッスン』を思い出しました。

○この展示に示された方々の仕事によって「原住民」の言語の記録が残されていることを知り、感銘を受けました。そして、それが現在の人々のアイデンティティー回復につながっていることを知り、新たな視座を得ることができました。ありがとうございました。配布資料もすばらしいものだと思います。

○学問をするということのきびしさ、時代状況、研究対象との関係で、植民地の記憶・文化を遺産として再利用するという人々の営為の意味と、それにいたるまでの歴史はどのようなものであったか、など考えさせられました。

○台湾に行って、もっと博物館とか資料館がみたくなりました。

○写真の良いものをまとめて冊子にして刊行はできるでしょうか。かなうなら私は入手したいと思います。

○全アーカイブがネット上で公開されるように願います。またぜひ多くの台湾人の目にもふれられるようになってほしいです。

○本展に限らずAA研では普段中に触れる機会のない資料による貴重な展示に積極的に取り組まれているようですので、そのような展示を今後も続けられることを望みます。

○台湾の何所かで展示する機会がないでしょうか?台湾社会、原住民社会に関して、かつての関連する資料を知る良い機会になります。

○この先の展示が楽しみです。毎回展示スタイルに驚かされます。今回のような少数民族の言語、文化紹介を含む展示会がこの先あればぜひ見に来たいです。