台湾資料

展示パネル  -資料展示室- 
 


オランダ人は、シラヤ語やファボラン語をローマ字で表記する方法を開発し、聖書などのキリスト教布教用の現地語文書を作成し、これを原住民に教えました。このローマ字による書字法は、土地契約文書においても使用されるなど、清代においては、実用的な役目も果たしたのです。シラヤ語で書かれた土地契約文書については、今日まで保存されたものがあり、「小川・浅井コレクション」の中にも数点のオリジナルと数十点の複写物があります (*本展では、シラヤ語文のみのオリジナルと、シラヤ語と漢文の併記された複写物の両方を展示しています)。シラヤ語と漢語の併記のスタイルは、一行ごとにシラヤ語と漢語が書かれている場合と、用紙の半分が漢語、残り半分がシラヤ語、という場合があります。両言語が併記された文書は、シラヤ語の復元にとって重要な資料となっており、小川もこれらを用いてシラヤ語の解読を試みた手稿(*南山大学人類学研究所所蔵)を残しています。また、村上直次郎も内容の翻刻を試み、Sinkan Manuscripts という著作を残しています。また、この文書は、台湾の歴史を解明するためにも貴重な資料です。土地の個人所有概念や現金経済観念がなかったシラヤは、このような契約によって、土地を担保に金を手に入れても、返す方法がなく、結局土地を奪われていき、だんだん肥沃な平地は外来者に奪われて、彼らは同化させられるか山奥へ移動せざるをえなくなったのです。


■次を見る>>