人が旅をするように、文字も旅をします。
本展は、2002年に開催し好評を博した
「アジア文字曼陀羅〜インド系文字の旅」に続く、「文字の旅シリーズ」の第二弾です。
アラビア語を書きうつすアラビア文字は、 もともと、線からできていましたが、 イスラームが誕生した7世紀、 神のことばを正しく書き記すための点(母音記号)が 打たれました。


それ以後アラビア文字は神のことばを伝えるため、 アラビア半島を旅立ち、 砂漠を越え、山を越え、海を渡り、 何世紀にもわたる長い旅をはじめました。
やがてアラビア文字は イスラームを受け入れた人びとの間でひろまり、 さまざまな異なる言語と出会いました。
そのとき人びとは、 自分たちのことばを書き記すために、 あらたにさまざまな点(子音字)を打つ工夫をこらしました。

この展覧会では、「規範 と拡張」、「聖と俗」、「伝統と現代」を軸にしながら、 「神が線を引いて人が点を打った」アラビア文字の旅の世界へ みなさんをご案内いたします。


本展の会場Aでは、アラビア文字の貴重本や 地図、印刷物、活版、ポスターなど、規範的な書の世界をお届けします。



会場Bでは、いまを生きる人々の暮らしの中で、 人の手から手へ、モノからモノへ、 そしてメディアからメディアへと、 たくましい横断を続け、拡張するアラビア文字の旅を、 どうぞご覧下さい。